日本人最強化計画。

CopyMouseHeadによるハースストーンアリーナ考察 blog

Hearthstone Arena 『アリーナメモ』

久方振りのブログ更新。
環境が転々とするハースストーンであるが、当ブログではアリーナの恒常的な方法論を記述していく所存である。
とある環境における限定的な事柄はなるべく取り扱わぬよう考慮している。
駆け出したプレイヤーの方々に、普遍的な技術の種をお裾分けするのが第一の目的である。
水をやり種を育てるのは余白として諸兄の個性にお任せしたい。
基礎がしっかりと身につけば、環境が変わっても応用が利くに違いないだろう。

今回はアリーナ対戦時の思考方法などをメモに残しておく。
書き残しも多々出てくるはずであるが、気づき次第この記事内にて更新する。


・ターン毎に相手を倒せるかどうかリーサル(致死)ダメージ確認をする

・次ターンにリーサルが見込めなければフェイスダメージのみでなくミニオントレードも視野にいれる

・相手のターン中に次の自分の動きを思考する

・ターン毎に相手がマナを使い切って行える事象を可能な限り想定する

・想定することが経験値になるので裏目を引いても気に留めない

・手札の流れを見て被A.O.Eに対する警戒の可否を判断する

・A.O.Eを警戒して損する手札やデッキの場合は相手がA.O.Eを使用しない前提で動く

・数ターン先の加バフや被A.O.Eを見据えてミニオン配置を慎重にする

・カードアドバンテージで負けそうな場合(リソースが少ない)はフェイスを重点的に攻める

・カードアドバンテージを稼いでいるときはフェイス攻撃よりも盤面のトレードを意識する

 

・ターン毎に縦(ミニオンの大きさ)と横(ミニオンの数)の召喚でどちらが有効か意識する

 

・相手が縦の召喚をするときはA.O.Eを警戒する

・相手が横の召喚をするときはバフを警戒する

・盤面が複雑な場合は先ず何が一番の問題なのかを見出す

 

 

 

ここまで目を通してくださった方に感謝します。あなたのアリーナでの健闘を祈ります

Hearthstone Arena 『デッキの型』

今回は、ハースストーンのアリーナで仕上がるデッキの型を分類していく。
とはいえ、数多の対戦型カードゲームにおいて、デッキ作りというものは概ね似通っているように見て取れる。
種別として、アグロ、ミッドレンジ、コントロール、コンボといったようなものが広く認知されているだろう。
今更、考察すべきものではないかもしれないが、詳細な部分では個々人の主観が入ってくるものと感じ、敢えて偏見を連ねていこうと思う。
 
 
さて、デッキの型を知ることは、プレイヤーにとってどのような恵みをもたらすだろうか。

 

少しくさい話になるが、人が何かを為そうとする時、道しるべとしてアイデンティティ帰属意識、識別)がある。

アイデンティティは、性別、生まれ育った環境、文化圏、所属する団体など様々であろう。

己は何者か、という問い。

それを掘り下げることによって、他との関係性が浮き彫りになっていく。

己を知ることによって、外部の世界に対して何を為すべきかを悟るのである。

 

と、なにやらカードゲームとは関係ないような文になったが、つまりデッキタイプとはアイデンティティのようなものではないか。

作ったデッキがどの型に帰属するのか理解することによって、行動の指針を得るのである。

大局が判れば、難しい選択を迫られた際に迷いを断ち切れる可能性がある。

結果的に失敗したとしても、行動に意味を持たせることは、やがてバランス感覚の向上に繋がるはずである。

 

それでは、アリーナにて考え得るデッキの型を下記にまとめてみる。

 

 

『アグロ型』

 

1~3マナ域のミニオンを充実させて速攻を仕掛ける型。

カードアドバンテージを放棄して、ライフアドバンテージとテンポアドバンテージに特化。

相手の挑発ミニオンを除去スペルや沈黙で退け、ひたすらにフェイス攻撃を目指す。

或いは、ミニオンを最速で盤面に大量展開してバフを加え、相手のトレードを手遅れにさせる。

環境にもよるが、アリーナではおそらくアグロ(攻撃性)型は少数派であろう。

テンポアドバンテージに最も適してはいるものの、ランダムなカードピックの中で、一貫性を持った美しいデッキを作成することは難しい。

性質として、うまく回れば瞬く間に相手のライフを削りきるが、コントロール型などに序盤を捌かれるとリソース不足による再起不能に陥りやすい。

 

『ミッドレンジ型』

 

3~5マナ域のミニオンを充実させて1対2トレードを狙う型。

スタッツの良い挑発やシステムミニオンなどを駆使して、中盤からカードアドバンテージを稼ぎテンポアドバンテージへ繋げる。

ミニオン戦で1対2交換を目指し、サイズで負ける相手のミニオンには、中マナ域の優秀な単体除去スペルで対処する。

カードピックでバランスを取りやすいため、このミッドレンジ(中域)型がアリーナでは主流であろう。

安定力を最大の武器とするため、序盤の爆発力や後半の支配力には欠ける。

 

『コントロール型』

 

6マナ以上の大型ミニオンを充実させて優秀なA.O.Eを有する型。

ドローカードなどでリソースを確保した後、A.O.Eで小型のミニオンを一掃し、中型のミニオンは大型の挑発などでフェイスに蓋をして対処する。

ライフやアーマーを得る手段があれば、ゲームの安定性が上がる。

大型レジェンドミニオンなどを活かしやすく、カードアドバンテージに特化した型である。

各種パワーカードに依存するため、コントロール(支配)型もまたミッドレンジ型よりは少数派であろう。

後半戦の圧倒的な強さがあるが、デッキに入っているカードのマナが総じて重めなため、序盤に事故(身動きの取れない状態)を引き起こすリスクがある。

 

『コンボ型』

 

単体のみでは効果の薄いカードを、2枚以上組み合わせて威力を跳ね上げ、一気に勝負を決めにいく型。

所謂、O.T.K(one turn kill)を狙うデッキであるが、豊富なドローカードや特定コンボパーツの獲得など条件が厳しいため、コンボ(コンビネーション・ボーナス)型は、ランダムピック方式のアリーナでは滅多にお目にかかれない。

 

 

と、凡庸に書き記してみた。

ピックを終えて出来上がったデッキを、上記の型に当てはめてみるのも一興ではなかろうか。

とはいえ、どれにも当てはまらないような珍妙なデッキで0勝や12勝すれば、それもまた愉快である。

 

いずれにせよ、競い合いにおいて先ずは、相手を知る前に己を知るといったことが肝心ではなかろうか。

 

 

ここまで目を通してくださった方に感謝します。あなたのアリーナでの健闘を祈ります

Hearthstone Arena 『戦闘の立ち回り方』

 これまでの記事では、アドバンテージの概念やデッキ作りの初歩について考察してきたが、今回は基本的な『ミニオン戦闘』の立ち回りについて記していきたい。

 


 
ミニオンカードは、ハースストーンの戦略において基本且つ最も重要な役割を果たす。
ミニオン以外のカードにはスペルカードや武器カードがあるが、それらのほとんどは消耗品であり、使用すると盤面から消えていく。反面、ミニオンカードは破壊されない限り盤面に残り続ける。


一度だけマナを支払えば、そのほとんどは以降のターンから無償でパーマネント(永続的)として攻守に働くため、投資的に言えば複利のようなものであろう。ハースストーンではミニオンなくしては効率良く戦えない。スペルを軸としたコンボデッキ(フリーズメイジなど)を作りづらいアリーナでは尚更である。
 
 

さて、アリーナで最も重要なミニオン戦闘のやり取りに、プレイヤーの技術はどこまで介入出来るものだろうか。


ハースストーンで先ずプレイング技術の差が出るのは、フェイス(ヒーロー)を攻撃するかミニオンを攻撃するかの判断力であろう。
録画した試合をビデオで振り返ってみれば、各ターンに選択肢が細かく分かれていたことに気づく。負けた原因がカードの引き運だと思っていたものが、実は攻撃判断のミスであったりすることは珍しくない。人は完全でなく、ターンには時間制限がある。


対戦相手と渡り合うには、短い時間の中で直感的に正確な判断が下せるようにならねばならない。
そのためにも、幾らかの基礎的な戦闘セオリーを記していきたい。
 
序盤戦、双方のプレイヤーのライフは減っておらず、お互いの盤面に同スタッツの軽マナミニオンが出ているとして、こちらのターンではミニオンによる攻撃先の選択を迫られる。
フェイスかミニオンか。
基本的には、ミニオンに攻撃すべきである。トレード(相打ち)を狙うのである。
理由は、『バフ(ステータス上昇)カード』に対する警戒である。

例として、お互いの2/2ミニオン同士が睨み合っている状況で、こちらがフェイスに攻撃してそのままターン終了した返しのターン、相手の2/2ミニオンに+1/+1のバフカードが使用され、3/3にステータス上昇したミニオンがこちらの2/2ミニオンへ攻撃してきた。こちらのミニオンは一方的に破壊され、相手のミニオンは3/1として生き残った。これは相手がテンポアドバンテージを取った形である。

バフは、システムミニオンやスペルによって付与されるが、上記の例のバフカードがシステムミニオンだった場合、相手の盤面にはミニオンが2体並んだことになり、こちらのテンポロスは更に加速する。
こういった事態を避けるために、1対1トレードが可能な時には基本的に実行すべきであろう。

上記の例で、フェイス攻撃をせずミニオン同士のトレードを実行した場合、相手はバフカードを付与する対象を失うことになる。
バフカード自体はスタッツが脆弱で、付与する対象である他のカードに依存するため、単体では使用しづらい(或いは使用できない)。もし、対戦相手のデッキの中にバフカードが大量に用意されていたとしたら、こちらの変哲もないトレードがそのまま有効打になることもあるだろう。

いずれにせよトレードをしないという行為は、相手に選択の幅を与えるのである。

ちなみに、トレードのちょっとしたコツとして、オーバーキル(過剰攻撃)を避けるというものがある。体力が1のミニオンに対して2点与えて処理すれば、それは1点のオーバーキルである。そういった雑な処理をした後、相手の手札から強力なミニオンが出現し、1点足りずに対処不能になることは決して珍しくない。
 
 
ここまでトレードの有効性について触れたが、1対1トレードを繰り返すのみでは対戦相手との差は開かない。
テンポ、リソース、ライフのいずれかで違いを生み出さねばならないだろう。
やはり、序盤はテンポアドバンテージを取っていきたいところである。

テンポを取ることが、やがてリソースとライフを確保することにも繋がる。

では、どのようにテンポを失うことなく戦闘を進めて行くのか。
 
例として、こちらの4/4ミニオンで相手の3/4ミニオンを破壊したとする。自陣にはダメージを受けた4/1ミニオンが残った。が、相手の陣地にはまだ1/1ミニオンが2体残っている。このまま相手にターンを返せば、おそらく1/1ミニオンで4/1ミニオンをトレードしてくるだろう。そうなれば、先ほど一方的に勝ったトレードがほぼ帳消しになってしまう。どうにか4/1ミニオンを活かしたい。
と、ここで登場するのが『挑発ミニオン』である。

挑発ミニオンは、フェイスと他のミニオンを守備する役割を持つ。
ゲーム序盤はお互いのライフに余裕があるため、ライフアドバンテージは無視してテンポアドバンテージに専念したい。となれば、挑発ミニオンはフェイスよりも味方ミニオンを守るために用いるべきであろう。

上記の例で、相手にターンを返す前に1/4挑発ミニオンを場に出せば、ひとまず4/1ミニオンは保護され(相手がメイジでない限り)、テンポがキープされた形になる。
つまり、トレード後に生き残った攻撃力が高く防御力が低い状態のミニオンを、挑発ミニオンで守ることによってテンポアドバンテージが稼がれるのである。

挑発は攻守のギミック(仕掛け)として、アリーナでは必要不可欠である。
ただし、挑発ミニオンはバニラミニオンにスタッツが劣るため、取得する枚数には気をつけなければならない。デッキが挑発ミニオンだらけになれば、挑発の価値は下がるだろう。盤面が挑発ミニオンで埋まれば、対戦相手は攻撃ターゲットを選び放題である。的確なターン、盤面に1体のみ配置された時に、おとりとして挑発ミニオンはその真価を発揮する。極力、2体以上盤面に並べないようにするのがミソである。

然るべきタイミングで戦場をコントロールするために、常に挑発ミニオンを手札に1枚ストックした状態を作ることが望ましい。この条件は難しいところもあるが、意識を持つことが肝心である。
 
1対1トレードを基本とし、次に挑発を用いて1対2トレードを狙う。これが1つの戦闘セオリーではなかろうか。
 
 
 

ここまで目を通してくださった方に感謝します。あなたのアリーナでの健闘を祈ります

Hearthstone Arena 『カードピックの手法』

今回は、アリーナで最も重要な『カードピック(カード選択)』について考察する。

最高峰の操縦技術を体得したF1レーサーでも、乗り込んだマシンが80km/hしか出ないポンコツであればまずレースにならない。無理矢理、ハースストーンのアリーナに置き換えてみれば、マシンはデッキといえるだろう。カードピックを無事に終えて、レースで競えるレベルのデッキを毎回安定して組み上げたいものである。
ところが、選択欄に出現する3枚のカードはランダム(無作為)なため、以前にプレイした好成績のデッキを完全に再現したりすることはまず不可能である。一期一会である。

出来上がったものをいざプレイしてみれば、手なりでやっても勝ちを重ねていく華々しい強デッキ。どうあがいても負けが見えてしまう泥沼のような弱デッキ。まるで持つ者待たざる者の人生を転々と疑似体験させられているような、そんな錯覚に陥る。

とりわけ運の要素が関与することは否めないが、そんな中でも毎月アリーナランキング の上位に名を連ねる猛者たちがいる。こういった事実は見逃せないもので、決して時の運だけでは片付けておけないのがハースストーンアリーナであろう。可能な限り、カードピックの理を探求し、引き出しを増やしていきたいところである。

 

さて、先の見通しを立てづらいカードピックであるが、どのような方針で選択を進めていけば良いだろうか。

カードピックに移る前に、まずはヒーロー選択がある。

各ヒーローには専用カードが用意されているが、それらもランダムで出現するため、狙い通りに希望するカードが取得できるわけではない。

となれば先ずは確定要素、選択したヒーローの特殊能力である『ヒーローパワー』とのシナジー相乗効果)を軸にピックを考えていきたいところである。

下記に、各ヒーローパワーの性質をアドバンテージ毎にまとめてみた。

 

『テンポアドバンテージ』

盤面の競り合いに直接関与するヒーローパワーは、メイジ、ドルイド、ローグ、パラディン(即効性はない)、シャーマン(即効性が薄い上にランダム)、プリースト(自陣のミニオンの体力が減っている場合に限り)の6ヒーロー。

 

『カードアドバンテージ』

相手とのリソース差を直接広げようとするヒーローパワーは、ウォーロックパラディン、シャーマン、メイジ(相手ミニオンの体力が1に限り)、ドルイド(同左)、ローグ(同左)の6ヒーロー。

 

『ライフアドバンテージ』

ライフの優位性。これまでの記事では敢えて触れなかった要素である。

相手に直接ライフ(アーマー)差をつけようとするヒーローパワーは、ハンター、ウォリアー、プリースト(自ライフが減っている場合に限り)、ドルイド、メイジ、ローグ(敵陣に挑発ミニオンが不在に限り)の6ヒーロー。

 

アリーナにおけるアドバンテージの中で、最も重要なのはテンポアドバンテージであることをこれまで記してきた。テンポアドバンテージを稼ぐには、基本的にスタッツの良いミニオンをピックすることが不可欠である。

では、スタッツの良いミニオンを率先して取得するという目標に、各ヒーローパワーとのシナジーを付け加えてみてはどうか。

 

例として、総体的にミニオンのスタッツが良いデッキを組み上げたメイジとウォリアーが対峙したとする。

メイジの5ターン目、4/5のバニラ(特殊能力を有しない)ミニオンが互いの陣地に1体ずつ並びあった状況で、メイジのミニオンがウォリアーのミニオンへ攻撃し、体力を4/1に減らしたところへヒーローパワーを使いこれを処理した。メイジの場には体力の減った4/1ミニオンが生き残った。返しのターン、ウォリアーのヒーローパワーでは盤面を処理できないため、ウォリアーは止むを得ず5/5ミニオンを盤面に展開する。返しのターン、メイジは先ほど生き残った4/1ミニオンでウォリアーの5/5ミニオンを攻撃し、体力が5/1に減ったところへ再びヒーローパワーを使いこれを処理した。メイジは4/5ミニオン1枚でウォリアーの4/5と5/5ミニオン計2枚と交換したことになる。これはメイジ側のカードアドバンテージである。こういったやりとりが続けば、ウォリアー側のリソースは尽きて完全にテンポを失うだろう。盤面に直接関与できない、ウォリアーのヒーローパワーの弱い面が露呈した形である。

逆に、メイジ、ドルイド、ローグのヒーローパワーは、アリーナにおけるテンポアドバンテージの補完として非常に強力である。

 

ウォリアー側が上記の問題を解決するために『システム(特殊能力内蔵型)ミニオン』を意識的にカードピックするという方法がある。

 先ほどのメイジとウォリアーの例では、ウォリアー側がターン相応のスタッツの良い5/5ミニオンを場に出したにも関わらず、一方的に損をしてしまった。

では、5/5ミニオンの代わりに4/2雄叫び(対象のミニオンに2点ダメージを与える)ミニオンを場に出して、メイジの4/1ミニオンに2点与えて処理すればどうであろうか。結果は大きく変わる。この場合、ウォリアーはカードアドバンテージを失うことなく、テンポアドバンテージまで稼いだことになる。

 

つまり、ウォリアー、ウォーロック、ハンターといった盤面に直接ヒーローパワーが関与しないヒーローを使う際は、ミニオン同士がぶつかり合った後の処理役、『点数調整カード』を意識してピックすることが有効なのである。点数調整カードは雄叫びや突撃などを有するシステムミニオンに限らず、A.O.Eなどのスペル(呪文)や武器でもよいだろう。

これらのヒーローにおいては、スタッツの良さを重視してバニラミニオンばかりピックしてしまうと、上記の例のような苦しいトレードのリスクが増すのである。

いずれにせよ、各ヒーローパワーがバランス良く機能しやすいようにピックを進めていく、といったことが肝心ではないだろうか。

ウォーロックでドローカードをピックすれば、手札が余計に増えるばかりで盤面が疎かになり、プリーストで体力の低いミニオンばかりピックすれば、ヒーローパワーは自ライフを回復するばかりであろう。

 

 

ここまで目を通してくださった方に感謝します。あなたのアリーナでの健闘を祈ります

Hearthstone Arena 『マリガンの技術』

 アリーナにおいて、スタッツの良いカードを集めてデッキを作ることの優位性について前回の記事で触れたが、今回はデッキを円滑に運用するための『マリガン』について考察していきたい。

 

マリガンとは元々ゴルフ用語であるが、ことカードゲームにおいては、ゲーム開始時に配られた手札をデッキ内のランダムなカードと交換し直す行為の呼称である。

たった1枚のカードをマリガンするだけで、そのゲームの勝敗を分かつほどの影響力がある重大な行為である。

何故、重大なのか。それはマリガンがテンポアドバンテージに直結するからである。

 

ハースストーンのアリーナにおいて、多くのプレイヤーはデッキ作りの際にマナ・カーブを形成することを目指す。

マナ・カーブは3、4コストのミニオンをマナ・グラフの頂点として山なりに描かれる。

3コストと4コストのミニオンの枚数について、どちらに比重を置くかといえば基本的には3コストである。

理由として、こちらがゲームの先手になった時、最初に配られる手札の数は3枚である。

配られた手札が全て4コストだった場合、それらをプレイするには4ターン目まで待たなければならない。マリガンせずに全てキープ(保持)したとして、3ターン目までに3コスト以下をデッキから引ける保証はどこにもない。使えない手札は、手札が無いのと同じようなものだろう。

対戦相手がテンポ良く1コストから3コストまで立て続けにプレイしたり、あるいは2ターン目にコインを使ってスタッツの良い3コストをプレイしたりすれば、こちらはただゲームを傍観するのみである。

または最初に1、2、3コストが手札に揃った場合、早い段階でゲーム展開に見通しがつく。それらを全て手札にキープした後、4コストを4ターン目の開始までにデッキから引いてくるには4枚ものドローチャンスがある。そして4コストは4ターン目に1枚プレイできれば良い程度である。何故ならば、立て続けに5ターン目に4コストをプレイするのはスタッツが悪いからである。5ターン目に4コストを使う時は、余ったマナを補完するために同時に1コストを使わなければならない。しかし、1マナは1ターン目に使っている上に、デッキに入っている枚数自体が比較的少ないので、都合良く5ターン目までに2枚プレイ出来るとは考えにくい。そうなると、5ターン目のテンポアドバンテージは、5コストの良スタッツを使う、あるいは2コスト(ヒーローパワーも含む)と3コストを同時に使う、のどちらかであろう。

上記までは先手になった時の例だが、逆に後手になった場合はコインを得るため、3コストはさらに有効である。

対戦相手が先手2ターン目に2マナ2/3か3/2ミニオンを場に出した返しで、こちらはコインを使い3マナ3/4ミニオンを場に出す。たったこれだけでテンポアドバンテージが僅かに取れる。

その後立て続けに3コストを展開すれば上々であろう。

こういったことなどから、早期の各ターンに頻出する3コストの枚数を優先すべきである。

 そして、デッキに入っている1コストや2コストの枚数にもよるが、基本的にスタッツの良い3コストを1枚手札に残すようにすればゲームが安定しやすい。このやり方は特に、コインを得る後手の時が有効である。

3コストを全てマリガンした後、替わりに4コストや5コストを引いてしまっては、恐らく首が回らなくなることだろう。

 

ここまで目を通してくださった方に感謝します。あなたのアリーナでの健闘を祈ります

Hearthstone Arena 『カードゲームの基礎』

対戦型のカードゲームで勝つためには、毎ターンいかにして相手より優位性を保つかが重要である。

それはゲーマーの間で「アドを取る」などと言われたりするが、アドバンテージ(優位性)を取るの略である。

対戦相手のライフを先に0点にした者が勝利するというハースストーンのゲームルールの中で、アドバンテージとは一体どういった種類のものがあるだろうか。

ここでは大きく分けて2つのアドバンテージを記していく。

 

先ずは最も肝心な『テンポアドバンテージ』から。

テンポとは進行の速度であるが、毎ターン自然と1マナ獲得するハースストーンでは、当然先に動いた者が有利となる。

極端な話、先手1ターン目に1マナ30/30突撃というミニオンを出せればそれでゲームは勝ちとなる。しかし、それでは誰もこのゲームを面白いと思わなくなるので、1マナ2/1といったようなカードがパックに詰められて販売されている。

いち早く使えて攻撃力の高いカードが机上の空論としてのテンポアドバンテージであるが、負けないために対戦相手はこちらの進行を妨害してくるだろう。その妨害に耐えるには防御力が必要である。

つまり、精確にテンポアドバンテージを取るには、マナが軽く攻撃力と防御力の高さを兼ね揃えたカードが必要となる。

そのようなカードは「スタッツ(統計数値)が良い」などとハースストーン界隈では言われている。

毎ターン、マナを使い切ってスタッツが良いミニオンを出し続けることがハースストーンのアリーナにおける基本戦術である。

相手もターン毎にマナを使い切って競り合ってきたとしても、展開したミニオンのスタッツが悪ければ、それらに有用な特殊能力が備わってない限り、こちらが一方的にテンポアドバンテージを取った形になる。

判然としたカード格差が、このゲームにも存在する。

テンポアドバンテージを覆すカードがA.O.E(敵全体除去)だが、それを持っていなければ一度取られたテンポを取り返すのは困難である。

作られたデッキがテンポアドバンテージを取れるかどうかは、ピック終了時に決まっている、と言って良いだろう。

 

次は『カードアドバンテージ』について。

テンポが最も肝心とは言ったものの、相手のライフ30点を減らすためのカードリソース(資源)が無ければゲームを進めることは出来ない。

幸い、ゲーム開始時にいくらかの手札がプレイヤーへ与えられる。

与えられた手札を1ターン目に全てプレイすることは基本的に不可能である。

プレイ出来ないカードを手札に抱えているばかりでは相手に遅れをとってしまうので、やはりテンポが重要になってくる。

対戦型カードゲームにおいて、手札を使い切って相手に勝つというのは美しいことである。その様は一見、余裕がなく不恰好に映るかもしれないが、勝利に余裕など要らない。

手札を使い切って勝つということは、相手による泥々の妨害を振り切りながら、しっかりと与えられたマナを使い切って働き続けた証である。

逆に、大量の手札を抱えたまま何も出来ずに負けるのはどうであろうか。

欲望と怠惰にまみれた卑しい者の末路に思えないだろうか。

もしそういった負け方が多い様なら、デッキ製作時のマナカーブを見直すことを推奨する。

(マナカーブとは、デッキ内のカードを点数で見たマナ・コスト別に並べ、それぞれに含まれるカードの枚数をグラフにしたときに描かれるカーブのこと ※MTG Wiki 参照)

マナ・グラフが3、4コストのミニオンを頂点とした山を描ければ随分とデッキが使い易くなるだろう。

カードアドバンテージからやや話が逸れたが、それだけこのゲームではテンポアドバンテージが重要だ。先ず、テンポアドバンテージを目指して、その次がカードアドバンテージである。

簡単に説明すると、こちらが1枚のカードで相手の2枚のカードを処理すればそれがカードアドバンテージである。カードアドバンテージを取るというのは相手とリソース差をつけることである。

たとえば、相手の場に3/1ミニオンが3体並んでいる状況で、こちらが1点ダメージを与えるA.O.Eを1枚使えば3対1交換である。

または、相手の場に3/2と2/3ミニオンがいる状況で、こちらに3/4ミニオンがいる場合、2対1交換が期待できる。こういったトレードを狙い続けて積み重ねることで、相手とのリソース差が浮き彫りになる。リソースが尽きればテンポも取れないため、こちらのライフに余裕があれば一方的な勝ち試合となる。

スタッツの良いカードを取ることで、自然とテンポアドバンテージが取り易くなることを説明したが、同時にカードアドバンテージも取り易くなっていることに気がつく。

デメリット能力持ちの良スタッツミニオンでさえも、出すタイミング、トレードのやり方、相手のヒーローパワー次第では化けるのである。

要するに、アリーナで肝心なのはスタッツの良さなのである。カードピックなのである。これが基礎で、どこまで行っても基礎は大事である。対戦相手と高度な騙し合いのトリックをやりとりする前に、先ずは基礎力、己のピック感覚を培う勝負である。

 

ここまで目を通してくださった方に感謝します。あなたのアリーナでの健闘を祈ります