日本人最強化計画。

CopyMouseHeadによるハースストーンアリーナ考察 blog

Hearthstone Arena 『カードピックの手法』

今回は、アリーナで最も重要な『カードピック(カード選択)』について考察する。

最高峰の操縦技術を体得したF1レーサーでも、乗り込んだマシンが80km/hしか出ないポンコツであればまずレースにならない。無理矢理、ハースストーンのアリーナに置き換えてみれば、マシンはデッキといえるだろう。カードピックを無事に終えて、レースで競えるレベルのデッキを毎回安定して組み上げたいものである。
ところが、選択欄に出現する3枚のカードはランダム(無作為)なため、以前にプレイした好成績のデッキを完全に再現したりすることはまず不可能である。一期一会である。

出来上がったものをいざプレイしてみれば、手なりでやっても勝ちを重ねていく華々しい強デッキ。どうあがいても負けが見えてしまう泥沼のような弱デッキ。まるで持つ者待たざる者の人生を転々と疑似体験させられているような、そんな錯覚に陥る。

とりわけ運の要素が関与することは否めないが、そんな中でも毎月アリーナランキング の上位に名を連ねる猛者たちがいる。こういった事実は見逃せないもので、決して時の運だけでは片付けておけないのがハースストーンアリーナであろう。可能な限り、カードピックの理を探求し、引き出しを増やしていきたいところである。

 

さて、先の見通しを立てづらいカードピックであるが、どのような方針で選択を進めていけば良いだろうか。

カードピックに移る前に、まずはヒーロー選択がある。

各ヒーローには専用カードが用意されているが、それらもランダムで出現するため、狙い通りに希望するカードが取得できるわけではない。

となれば先ずは確定要素、選択したヒーローの特殊能力である『ヒーローパワー』とのシナジー相乗効果)を軸にピックを考えていきたいところである。

下記に、各ヒーローパワーの性質をアドバンテージ毎にまとめてみた。

 

『テンポアドバンテージ』

盤面の競り合いに直接関与するヒーローパワーは、メイジ、ドルイド、ローグ、パラディン(即効性はない)、シャーマン(即効性が薄い上にランダム)、プリースト(自陣のミニオンの体力が減っている場合に限り)の6ヒーロー。

 

『カードアドバンテージ』

相手とのリソース差を直接広げようとするヒーローパワーは、ウォーロックパラディン、シャーマン、メイジ(相手ミニオンの体力が1に限り)、ドルイド(同左)、ローグ(同左)の6ヒーロー。

 

『ライフアドバンテージ』

ライフの優位性。これまでの記事では敢えて触れなかった要素である。

相手に直接ライフ(アーマー)差をつけようとするヒーローパワーは、ハンター、ウォリアー、プリースト(自ライフが減っている場合に限り)、ドルイド、メイジ、ローグ(敵陣に挑発ミニオンが不在に限り)の6ヒーロー。

 

アリーナにおけるアドバンテージの中で、最も重要なのはテンポアドバンテージであることをこれまで記してきた。テンポアドバンテージを稼ぐには、基本的にスタッツの良いミニオンをピックすることが不可欠である。

では、スタッツの良いミニオンを率先して取得するという目標に、各ヒーローパワーとのシナジーを付け加えてみてはどうか。

 

例として、総体的にミニオンのスタッツが良いデッキを組み上げたメイジとウォリアーが対峙したとする。

メイジの5ターン目、4/5のバニラ(特殊能力を有しない)ミニオンが互いの陣地に1体ずつ並びあった状況で、メイジのミニオンがウォリアーのミニオンへ攻撃し、体力を4/1に減らしたところへヒーローパワーを使いこれを処理した。メイジの場には体力の減った4/1ミニオンが生き残った。返しのターン、ウォリアーのヒーローパワーでは盤面を処理できないため、ウォリアーは止むを得ず5/5ミニオンを盤面に展開する。返しのターン、メイジは先ほど生き残った4/1ミニオンでウォリアーの5/5ミニオンを攻撃し、体力が5/1に減ったところへ再びヒーローパワーを使いこれを処理した。メイジは4/5ミニオン1枚でウォリアーの4/5と5/5ミニオン計2枚と交換したことになる。これはメイジ側のカードアドバンテージである。こういったやりとりが続けば、ウォリアー側のリソースは尽きて完全にテンポを失うだろう。盤面に直接関与できない、ウォリアーのヒーローパワーの弱い面が露呈した形である。

逆に、メイジ、ドルイド、ローグのヒーローパワーは、アリーナにおけるテンポアドバンテージの補完として非常に強力である。

 

ウォリアー側が上記の問題を解決するために『システム(特殊能力内蔵型)ミニオン』を意識的にカードピックするという方法がある。

 先ほどのメイジとウォリアーの例では、ウォリアー側がターン相応のスタッツの良い5/5ミニオンを場に出したにも関わらず、一方的に損をしてしまった。

では、5/5ミニオンの代わりに4/2雄叫び(対象のミニオンに2点ダメージを与える)ミニオンを場に出して、メイジの4/1ミニオンに2点与えて処理すればどうであろうか。結果は大きく変わる。この場合、ウォリアーはカードアドバンテージを失うことなく、テンポアドバンテージまで稼いだことになる。

 

つまり、ウォリアー、ウォーロック、ハンターといった盤面に直接ヒーローパワーが関与しないヒーローを使う際は、ミニオン同士がぶつかり合った後の処理役、『点数調整カード』を意識してピックすることが有効なのである。点数調整カードは雄叫びや突撃などを有するシステムミニオンに限らず、A.O.Eなどのスペル(呪文)や武器でもよいだろう。

これらのヒーローにおいては、スタッツの良さを重視してバニラミニオンばかりピックしてしまうと、上記の例のような苦しいトレードのリスクが増すのである。

いずれにせよ、各ヒーローパワーがバランス良く機能しやすいようにピックを進めていく、といったことが肝心ではないだろうか。

ウォーロックでドローカードをピックすれば、手札が余計に増えるばかりで盤面が疎かになり、プリーストで体力の低いミニオンばかりピックすれば、ヒーローパワーは自ライフを回復するばかりであろう。

 

 

ここまで目を通してくださった方に感謝します。あなたのアリーナでの健闘を祈ります